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代表理事ご挨拶

代表理事 大橋靖雄日本臨床試験研究会が2009年9月1日に一般社団法人として設立され、その設立時の代表理事に就任することとなりました。設立に至った背景と会の趣旨を説明させていただくために、発足時から用いられている趣意書を以下に掲載します:

日欧米三極によるICH(International Conference on Harmonization)に伴い我が国でもGCP(Good Clinical Practice)が改訂され、臨床試験に対する基盤整備必要性の認識が1990年代後半から産官学いずれにおいても高まりました。2000年前後のCRC(Clinical Research Coordinator)の施設への急速な導入はこの現われです。しかし、CRCがわが国では「治験コーディネータ」として導入されたことに象徴されますように、この基盤整備は新薬開発のための治験を主な対象としたものであり、治験も含む臨床試験・臨床研究全般の基盤はわが国では未だに脆弱です。このことがわが国の治験の高コスト体質の一因であり、諸外国ではすべての臨床試験に適用されるGCPがわが国では治験のみを対象とし、いわば過渡的措置として「臨床研究の倫理指針」により施設の臨床試験・臨床研究体制の質向上を図らねばならない背景にあります。さらに、臨床試験あるいは治験は医薬品のみならず医療機器や再生医療・細胞治療といった医療技術をも評価対象とするものの、医薬品以外を対象とする臨床試験・臨床研究の基盤はわが国ではさらに脆弱です。グローバル企業の国際共同治験の重視、そして内資企業の海外進出の中で、アジアの中でわが国が果たすべきリーダーシップを問われているものの、国内での臨床試験・臨床研究の基盤整備がこの前提となることはいうまでもありません。

それでは基盤とは何でしょうか。法的整備や施設の物理的環境も重要ではあるものの、臨床試験・臨床研究費用の大半が人件費にあてられていることは世界共通であり、「人」すなわち臨床研究・臨床試験を支える人財こそが基盤に他ならないと私どもは認識しております。材料ではなく財産として、専門性を有する人財を長期的展望と広い視野のもとに育成することが喫緊の課題です。これまでの政府等による人材育成プログラムは、芽生えとはなったものの、時間的な展望と視野、そして規模のいずれの点も不十分であったと私どもは考えます。

臨床試験・臨床研究を支える専門職としましては、企業等の開発担当者(モニター)、プロジェクトマネジャー、施設のCRC、施設および中央データセンターのデータマネジャー、試験統計家、メディカルライター、情報システムの構築と維持に関わるIT専門家などが挙げられます。これら専門職の育成および継続教育の場は、わが国では存在したとしても、それぞれの職種毎に個別的であり、多様な職種の人財が一同に会する場は、製薬会社の治験を対象としたDIA(Drug Information Association)以外存在しないといえます。

ここに私どもは、臨床試験・臨床研究に関わる専門職が一同に会し、それぞれの専門知識と専門技術の向上を図るとともに職種の枠を超えた情報交換と教育・研究活動を推進することを通じ、我が国の臨床試験・臨床研究の推進および質向上に寄与することを目的とし、「日本臨床試験研究会」の設立を発起するものであります。

おかげさまで多くの方々にご賛同いただき、本会は順調に動き出そうとしております。現在はホームページの開設、集会と各種研修会の企画、会誌発行の準備に追われております。皆様のご意見を取り入れ、開かれた、専門職のキャリアパス作りに貢献できるような会にしていきたいと考えております。ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

中央大学理工学部 人間総合理工学科 生物統計学研究室 教授 大橋靖雄

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